未来都市と大自然が共存する国

 ユーラシア大陸の真ん中に位置するカザフスタン。日本の7倍以上の面積がある広い国土には砂漠と草原が広がっており、昔から遊牧民が活動してきました。また、石油や天然ガスなどの資源も豊富で、中央アジア最大の産油国ともいわれています。日本とのつながりも深いものの、どこか遠くの存在であるカザフスタンにはまだ手つかずの自然や魅力的な地形が広がっています。

 北はロシアと7000km以上の陸上国境を共有しており、東に中国、南にキルギス、ウズベキスタン、トルクメニスタンが位置し、南西に位置する世界最大の湖であるカスピ海を越えるとヨーロッパやコーカサス地域とつながるなど、多様な民族や文化とも接点があることも特徴です。ここではそんなカザフスタンの一部をご紹介いたします。

『首都・アスタナは未来都市』

1991年に旧ソビエト連邦から独立したカザフスタンは、97年に南部のアルマティから北部にある今のアスタナに首都を移し、都市計画のもとに計画的に近未来的な都市がつくられました。この都市のデザイン設計に日本の黒川紀章建築都市設計事務所が選ばれたことも、日本とのつながりが深いことの一つです。

その後2019年には初代大統領の氏の名前をとって「ヌルスルタン」という名称に変更されましたが、その3年後には「アスタナ」に戻されています。

首都のアスタナの人口は当初の想定よりも増え続け、住宅の建設など開拓が進んでいますが、その先には広がる砂漠と大地。

首都のシンボルであるバイテレクタワーから見渡すとその境界線がよくわかります。

『多様な気候と地形が生み出す大自然』

 主に大陸性気候ではありますが、これだけ国土が広いカザフスタンは地域によってその気候も多様。首都のアスタナは夏には最高40度以上までに上がることがありますが、年間を通して北西風が強く、夏はからっとしていて、冬はマイナス30度以下まで下がります。短い夏の間、レストランのテラス席やルーフトップバーなどが賑わいます。最大の都市であるアルマティは札幌と同じくらいの緯度のため、冬でも最低はマイナス6度ほどで他の中央アジアの都市より比較的過ごしやすくなっています。

 カザフスタンの西側はウラル山脈から東部にはアルタイ山脈などまで続き、アルタイ山脈にはタイガやジュニパーの森林が広がっています。南には7,000m級の天山山脈とパミール高原が連なります。植物や特産物なども地域によって異なり、それぞれの土地にユニークな特徴があります。

『太古の記憶・古代テチス海が残した白亜の台地』

西側にはカスピ海とアラル海の間に位置し、3カ国にもまたがる20万平方キロメートルに及ぶ白亜の台地「ウスチュルト台地」がひろがり、かつて海底であったダイナミックな台地を望むことができます。その景色はまるで別の惑星にきたかのような圧巻の景色。

この台地は6000万年から2000万年前の間に形成されましたが、その形成は1億年以上前に始まったといわれています。この広大な地域は、超大陸パンゲアがラウラシア大陸とゴンドワナ大陸に分かれていた頃、その間に存在した古代テチス海の海底であり、水の圧力の下で石灰岩堆積物が徐々に形成されました。現地では広大なウスチュルト台地の各スポットをめぐり、テント泊をするツアーなどに参加し貴重な体験をすることもできます。

日本にはまだ広く知られていない国ですが、その魅力はまだ何かを秘めているようです。ぜひそんなカザフスタンに一度訪れてみてください。 

著者:戒能 彩
茨城県つくば市出身。
2017年より国際協力機構(JICA)等で南アジア、中央アジア地域のODA事業に従事。
2022年から2年間カザフスタン(アスタナ)に、2024年に半年ほどキルギス(ビシュケク)に駐在。